インドネシアって、ジャワ島やバリ島以外にもたくさんいっぱい島があるけど……
なかなか、それぞれの島のことを知る機会ってないし、あまり知らないこと多いなぁ……
もっと知りたいけど……
インドネシア語の本を読めるわけでもないし……
そんなあなたにぜひ!
インドネシア東ヌサテンガラ州の伝統的な漁業をしている人たちを19年にもわたり、取材し続けた日本人カメラマンが残したノンフィクション小説をぜひおすすめしたいです。
1990年代から約19年もの歲月、一読の価値があります!
いままでのインドネシア関連小説の中でも特におすすめしたい一冊です!
そんな小説があるなんて!
めちゃくちゃ気になります!詳しく教えてください!
他にもインドネシア関連の本を紹介していますので、気になる方はあわせてチェックしてみてください。
本の紹介『鯨人(くじらびと)』
概要
生きるために人と鯨は闘う
銛一本で地球最大の生物に挑む人々のドキュメント!
インドネシア東ヌサテンガラ州に属するレンバタ島のラマレラ村は、銛一本で鯨を仕留める伝統捕鯨で知られている。
写真家である著者は約19年にわたりこの村の様子を取材。
世界最大の生物に挑む誇り高き鯨人達の姿と、村の営みに深く根ざす捕鯨文化の詳細を記録し、ついには捕鯨の水中撮影を敢行する。
だが、この村にもまた、グローバリゼーションの波は押し寄せていた…。
岐路に立つラマレラ村とその捕鯨文化を雄渾に活写する、比類なきネイチャー・ドキュメンタリー。
著者『石川 梵』さんについて
石川 梵(いしかわ ぼん)
1960年生まれ。写真家。東京都町田市在住。
AFP通信社東京支局カメラマンを経て、フリーランス。
辺境の民とその「祈り」の世界をライフワークに、これまで六〇ヵ国以上で撮影。「Life」をはじめ「Paris Match」「Geo」「月刊 PLAYBOY」「TRANSIT」など内外の主要誌で作品を発表。
写真集『海人』(新潮社)で日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞写真賞などを受賞。ほか写真集『伊勢神宮遷宮とその秘儀』(朝日新聞社)、フォトエッセイ集『時の海、人の大地』(魁星出版)などがある。
ラマレラ村 Lamalera
ジャワ島やバリ島からもずっと東に1000km以上離れた場所に、東ヌサテンガラ州に属するレンバタ島のラマレラ村はあります。
感想
まず、僕の感想など置いておいて、下記の↓こちら↓のYoutubeでの映画予告を見てください!
銛一本でクジラに挑むということがどういうことか?その壮大さはこの映像以上に伝えるすべがありません。
このラマレラ島に日本人カメラマン『石川梵』さんがはじめて降り立ったのが、1991年。
インドネシアの当時の様子は、首都のジャカルタですら、まだまだ裸足で生活する人たちが多くいたような時代ではないでしょうか?
少なくとも、私の知人のジョグジャカルタに1990年より住んでいる日本人女性の話では、当時はジョグジャカルタはコンクリートの道も主要な道路だけで、良く靴やサンダルをあげていたとおっしゃっていました。
そんな時代のジャカルタからも遠く離れたラマレラ村。
想像もしがたい世界ではないでしょうか?石川さんによると当時は、電気もガスもなかったとのこと。
島と他の島をつなぐ交通手段は約週に一度の定期便のみ。
そんな村には、伝統的なクジラ漁を中心とした生活が築かれていました。
くじら一頭を捕まえれば、村全体が約1ヶ月半暮らせるとのこと。
鯨肉は、周辺の村と物々交換で、米やバナナなどと交換されます。
このラマレラ村では、男性は漁に行き、女性は、獲ったくじらを干して、乾燥肉にして、約10km離れた隣の村まで40kgの荷物を担いで物々交換をしながら売り歩きます。
やはりいちばんの驚きは、エンジンもついていない手漕ぎの木製のボートで、銛一本でくじらを仕留める手法。
くじらに銛を刺したとしても、長いときは一日以上引き回されたりすることもあります。
そして、体長約15メートルにも及ぶくじらと命をかけた戦い。
文字通り、死や大きな事故・怪我と隣合わせの世界です。
そして、このドキュメンタリーのもう一つの面白い側面は、1991年より現在にいたるまで、19年以上をかけた取材を通して、その人々の世界をどのように変えていったか?
エンジン、電気、携帯電話、島をつなぐ橋の建設。
そういった環境の変化によって、村の人々の生活がどのように変わっていったか、という点もインドネシアに住む私としては、とても興味深い一面です。
これまで10冊以上読んできたインドネシア関連本で段違いでおすすめな一冊です。
映画でもいいので、絶対に見てください!
読者の声
映画くじらびとを観た後で読みました。ラマレラの人々の生き方に深い感動を覚えました。映画とは違い、長い歴史のある日常に、生きるとは?鯨漁を続けることとは?等を考えずには居られません。日本にもかつては鯨漁が生活の中心だった村がいくつもあったのを思うと複雑な思いです。それにしても、著者のものすごいエネルギーにも圧倒されました。
今まで、一度もレビュー投稿をしたことがありませんが、今回はどうしてもという想いです。
映画「くじらびと」を観て、すぐ購入しました。監督さんのもの凄い情熱と愛情溢れる映像は、このようにして撮られたのかとこの本を読んで分かり、さらに深く心を引き込まれました。鯨の眼の映像を撮るためにエアなしで海に入り、鯨にしがみつきその赤い血、怒りの勢いを肌で感じ、さらに様々な危険への恐怖を押し込めて鯨と対等するさまは、まさに海中で戦っているという印象でした。水圧と水流と海上から降る銛と、鯨の叫びと。最後は涙が出ました。映画では迫力あるシーンにやらっれぱなしでしたが、村の様子や人々の暮らしの変化を知ることができるのも、この本のおかげです。何年も通って村の人々との信頼関係を深め、このような世界を紹介してくださった石川梵監督に、感謝です。多くの方に読まれることを願っています。
クレイジージャーニーを見て、石川梵の鯨人を購入しました。とても良いドキュメンタリー作品です。
銛突きの様子は、現地で実際に漁を体験してことがないと表現できないものだと感じました。
写真はほとんどありませんが、鯨に接近した息を呑む瞬間のものがあり、どれも秀作だと思います。
鯨漁、信仰、祈り、日々の生活、長らく現地に滞在し、漁に同行していないと感じ取れない心が表現されていると思います。
kindle版で読みました。大昔から人は、こうしてマッコウクジラと命をかけて闘ってきたことを生き生きとした文章から感じました。クジラを殺すのか、保護するのか、世界的に議論になっていますが、この本を読んで感じたのは、政治的なことも、環境問題の議論もありません。人間が一つの生きものとして、命をかけて他の命と対峙する時の根源的な輝きです。人が銛一つで巨大なマッコウクジラと闘う姿に魂を揺さぶられました。石川さんから、このドキュメンタリーを映画化する予定があると伺っています。この本の世界が、どのように映像化されるかが楽しみです。
この地は、はるか遠く南の島、日本から直線距離で約5000km、インドネシアのレンバタ島のラマレラ村。
銛一本でマッコウクジラを仕留めるという伝統の捕鯨のワンショットのために、4年通い続けて、最終的には7年もの月日を経るというドキュメントです。
まずは、表紙に掲載された、その勇猛な姿をショットした写真に圧倒されてしまいます。
機械を使わずに、人力で船を漕ぎ、深く潜水した鯨が再び現れるところを風向きや潮流などと勘により予想して先回りし、銃を使うことなく、鯨が好位置に表われば、満身の力で銛を打つというもの。
まさしく、人と鯨の戦いなのです。
それは、命を落とすこともある危険な漁であり、いつも紙一重の生死をかけた凄まじい光景なのです。
そんな様子を、本書ではドキュメンタリーにルポしています。
本書の目玉とする部分は、やはり4年の歳月をかけて、ようやく目にした捕鯨の顛末であり、それは一瞬の出来事のように感じますが、みなぎる渾身の力で筆をしたためてあり、その時に著者が目にした様子が眼前に浮かんできます。
何よりも、その待ち続けた4年の間に、一日8時間も小船の中で鯨を追い求めてさまよい続けたのですが、その過程で漁法をよく理解し、また、地元民との交流により、クライマックスを迎えるのに相応しい醸成があってこそ、その捕鯨の瞬間に濃密な、感動すら覚える光景となったものと思います。
最後に
改めていいますが、これ以上におもしろい日本人が制作するインドネシアのドキュメンタリーは、後にも先にもなかなか出てこないんじゃないかと思うほどの作品です。
絶対に読んでください!