世界遺産のボロブドゥールに来たのですが……
建造物のあまりの迫力に感動したのですが、壁面には数多くのレリーフがあって、もっと色々知りたいなと思ったんですが……。。
ちょっと見ただけだとレリーフを読み取るのは難しいですよね。
このレリーフも背景を知ってみると、またひとつ楽しめると思いますので、詳しく紹介いたしますね!
レリーフに残された物語
ボロブドゥール寺院(Candi Borobudur)は8世紀に建てられ、2,670以上のレリーフが壁面に描かれています。それぞれのレリーフは、当時の日常生活の美しい物語をいまに伝えています。
レリーフの配置と全体図
総数約2,670に渡るレリーフは大きく分けて、7つの物語を収めています。
Karmawibhangga
Karmawibhanggaとは、人間の生と死(輪廻)の終わりのない連鎖を描いたものです。
そのため、この世の中の苦しみや大事なことを表現したレリーフが多く描かれているのが見どころです。
この壁画は、ボロブドゥールの基盤部分の壁に描かれています。
このレリーフは、噂話(とりわけ、ゴシップネタ)を話している様子が描かれているものです。
壁画には、昔のジャワ語で”Virupa”という単語が記されています。
“噂話が好きな人は、醜い顔で生まれ変わる” そういった言い伝えを表現している壁画と言われています。
1000年以上前から、ゴシップ話はみんな好きなんですね。。
なんだか急にレリーフに親近感が湧きましたww
そうですよね。そして噂話が良くないみたいな教えも昔からあるんですね……。
面白いですよね。きっと1000年後もゴシップネタの文化は続いているんだろうなと思いますw
こちらは、真の友情を表現したレリーフです。
ある日、鬼が猿を食べようとしていたそうです。打ちのめされた猿は、自分の運命を水牛の友人に話しました。水牛は猿を慰め、「僕の体のほうが大きくて美味しいはずだ」と代わりに自分を差し出すと言いました。
そんなときに、猿と水牛は鬼に出会いました。その様子を見た鬼は水牛のあまりの優しさに感動し、去っていったそうです。
とてもいい話ですよね。
レリーフを見ただけではなかなか読み取るのが難しいですが……。
Dewata Penjaga
入り口の扉には、遺跡を守るための神々のレリーフが描かれています。
この壁画は、1階層目の外側に描かれています。
Awadana
Awadanaあるいは、Divyāvādanaは、高貴な行い(とりわけ神の物語)を反映しています。
原文となる物語は初めて文章化された仏教テキストのひとつである可能性があるが、この特定の物語集は17世紀以前には証明されていません。 概要としては、仏陀が弟子のグループに、特定の個人が前世での行為によって、現在において特定のカルマの結果を持つに至った経緯を説明する物語が収録されています。
Jatakamala
Jatakamalaは、仏陀の前世である”菩薩”の誕生の物語です。
上記のレリーフは菩薩の誕生の物語です。菩薩は、高潔で精神的に勤勉なバラモンの家庭に生まれまし。母親の腕の中で、小さな菩薩はバラモン教の僧侶に祝福されていて、父親もまた僧侶に供え物を持ってきています。
Manohara
マノハラは、ジャータカ物語のひとつに登場するキンナリ(半女半鳥)のヒロインである。マノハラとスダナ王子は結婚し、この伝説は『ディヴィヤーヴァダナ(Awadana)』に登場しています。
この物語は東南アジア諸国の文献に報告されており、鳥の乙女と人間の男に関する同様の物語は東アジアにも見られます。
マノハラとスダナの結婚の誓いを反映したレリーフ
Lelitawisatara
ラリタヴィスターラ(Lalitavistara)は、サンスクリット語化されたプラクリット語のテキストに見られるストーリーに従って120のパネルに描かれた釈迦の生涯を反映しています。
Jataka
Jatakaは、すべての人、特に子供たちが楽しめるように書かれた物語です。
ボロブドゥール寺院の壁の1階には、シッダールタとして生まれる前の、動物の姿をした仏陀の出来事や行いを伝える一連のレリーフがあります。この一連のパネルは数十の物語からなり、ボロブドゥール寺院の壁の上下に並ぶ1階の500のレリーフからなるジャタカのレリーフと呼ばれています。
確認されている34のジャタカ物語のうち、ジャタカ寓話物語は、ジャタカ浮彫りの存在が寓話物語を通じて道徳的な教えや美徳の道徳的メッセージを含んでいる13の他の寓話を提起することになります。
道徳的な教えの参考資料であるだけでなく、ジャータカのレリーフに描かれた動物の描写は、過去からのインドネシアの豊かな生物多様性のデータベースにもなっているそうです。
Gandawyuha
Gaṇḍavyūhasūtraは、マハーラヤーナの伝統の主要な経典の一つであり、原典のサンスクリット語のほか、チベット語訳や中国語訳もあり、ネパールではマハーラナ伝統の9大経典の5番目に数えられています。
Gandawyuhaの壁画は、ボロブドゥールのレリーフの大部分を占めており、2階層から4階層目までに、このレリーフが描かれています。
最上階: ストゥーパ(Stupa)
この最上層には、最高の精神的達成を象徴する72のストゥーパがあります。それぞれの仏塔には仏像が安置されています。
この階層は形のない世界、あるいは神聖な世界を表し、悟りを開いた個人や指示者の達成を反映しています。
このレベルの詳細な物語を伝えるレリーフは残されていませんが、ストゥーパは仏教におけるより高い精神的レベルと究極の目標を象徴しています。
ストゥーパは、悟りの達成と、あらゆる世俗的な欲望や苦しみからの解放を表しています。
まとめ
ボロブドゥール(Borobudur)のレリーフについて紹介いたしました。
いかがでしたでしょうか?
おそらく特に一番楽しめるのが、1000年前の生活の様子に思いを馳せることのできる基盤部分のレリーフかと思います。色々想像を膨らませて楽しんでみてください!
ボロブドゥールについては、他にもたくさんの記事を書いています。
ぜひこちらもチェックしてみてください!
参考文献
“Adegan dan Ajaran Hukum Karma pada Relief Karmawibhangga” – Balai Konserbasi Borobudur
https://repositori.kemdikbud.go.id/12651/1/ADEGAN%20DAN%20AJARAN%20HUKUM%20KARMA%20PADA%20RELIEF%20KARMAWIBHANGGA.pdf